おてんば姫と溺愛王

町外れの森から出て、まだ開店前のお店が並ぶ大通りを走って抜ける。大通りを抜けた先にある2階建ての家が私の家。両親の趣味で木とレンガを使ったこの家は、私のお気に入りでもある。

自分で言うのもなんだが結構広くて、1階ではパン屋を経営している。私のお父さんがパンを焼いていて、常連のお客さんたちにとっても大人気。

家の裏口から入ると、ふわっと香るパンの匂いに思わず顔が緩む。お父さんはいつも朝食用に買いに来る人たちのために朝早くからパンを焼いて、出来立てを買ってもらっている。


2階に上がる前に厨房に立つお父さんに声を掛ける。

「お父さんおはよう。今日もパン美味しそうだね」

「お、フローレンおはよう。今日も剣の特訓か…。お父さんはもっとおしとやかにして欲しいのになぁ。」

「はいはい、もうそれは聞き飽きたよ。それよりパン1つ頂戴!」

私はいつものように言ってくる、お父さんの小言を聞き流して手のひらを向ける。

「しょうがないなぁ。ほら、熱いから気をつけろよ」

呆れながらも、出来たばかりのパンをくれるお父さん。

「やったぁ、いただきまーす!」

ふーふーとパンを冷まし、パクッとかぶりつく。

「どうだ?うまいだろ」

「うん!すっごく美味しい!」

自慢げに聞いてくるお父さんに私は満面の笑みを返す。

カリッとするパンの表面に、ふわっとするパンの中身。

これを美味しいと言わない人はいないと言えるほどの美味しさ。