シュッ、シュッ

朝の静かな森には不似合いな音が響く。

そう、この音は剣を振る時の音。

剣を振っているのはもちろん、逞しい体を持つ男...ではなく可愛らしい小柄な女。

「ふう、疲れたぁ」

そう言って女は地面に座りこみ木に体を預ける。

この女はスティーシャ・フローレン。フローレンは毎朝こうして静かな森で剣術の練習をしている。

剣とは結び付きもしないこの容姿は数々の男を魅了する。パッチり二重の目に影を落とす長いまつげ。高く小さな鼻に赤く艶のある唇。

肩まである髪は、日の光を浴びてより一層輝くブロンドだ。



自分でこの可愛さを自覚しているなら、フローレンはきっと世間一般的に言う「小悪魔」だろう。