出会ってから数日経っても、二人は言葉を

交わすことはなく、たまに一言程しか

書かれていない手紙を渡すくらいだった。

だが、そんなやりとりでも流偉と優歌の

共通点が多い事がお互いによく分かった。

同じ学年で図書室登校だという事や、

好きな教科が国語だと言う事。

好きな本が同じという事。

誕生日がお互いに4日だという事。

あまりに多く苦笑した。

ある日の事。

いつも通りに優歌が図書室に行くと

流偉はまだ来ていなかったが、

いつも通りに席に着いた。

数分して図書室のドアが開いて

話し声が聞こえた。

「ねぇ、なんで無視するの?正世くん。」

少し目を向けるとそんな言葉が耳に入る。

流偉はその少女に紙を渡すと

「へー、私の事嫌いだからって...
そんな言い訳するの?声が出ないとか。
最低だね。」

そう言い残して少女はドアを乱暴に閉めて

出て行った。