中学の入学式が終わり、少し慣れ始めた頃。

日差しの暖かい日の図書室で二人は出会った。

本棚にある本を取ろうとしたとき、お互いの

手と手が触れた。言葉を交わ事なく、

目で挨拶をして謝っただけだった。

桜が散り始めた、五月のある日。

いつものように二人は隣に座った。

主に読む本棚が近くにあるからだ。

「本を沢山読むんだね。四月に借りた本が

20冊でランキング1位だったよ。」

隣に座る少女、海紀 優歌(ミキ ユウカ)に

そう書かれた紙を渡したのは

あの時の少年、正世 流偉(タダセ ルイ)。

「これがいつもなので・・・」

優歌も紙に書いては流偉に渡した。

そして流偉は手紙の返事の代わりに

微笑みを見せた。

これが、二人の始まりだった。