どうする事も出来ず、土曜日はやって来た。


 十二月のはじめなのに、雪が舞っている。

 僕は仕方なく、部長に指示されたホテルのレストランへ向かった。

 取りあえず、部長の手前スーツを着て美容院へも行ってきた。


 レストランのテーブルには部長と奥さんが座っている。

 なんだよ! 堅苦しい物じゃないって言ったくせに、奥さんまでいるじゃないか……

 しかし、そんな事は顔には出せない。


「はじめまして、海原です」

 僕は、テーブルに近づき、部長の奥さんに挨拶をした。


「まあ、今日はすみません…… 主人がとても良い方いらっしゃるから、是非、いい人を紹介してくれって言うもので」

 奥さんの言葉に、話が違うと言いたくなった。



 奥さんに促され、部長の隣に座った。