「先輩…… 先輩が雨宮さんをどれだけ思っているかは、よく分かります。でも、今の先輩は何かが動いてないっていうか? 見ていて切ないです……」


「神谷…… 僕だって分かっているよ…… でも、自分でもどうにもならないんだ…… 彼女が居ないと、心臓すら動いていないんじゃないかと思うよ……」
 僕は下を向いてしまった。


「先輩…… 確かに雨宮さんは、誰からも好かれるような素敵な人です。でも、俺は雨宮さんを好きな先輩が好きでしたよ。あまりにも真っ直ぐで、雨宮さんを見ている先輩の動揺振りが面白くて、応援したくなるんですよ」


「結局、面白がっているだけじゃないか……」


「まあ、そうなんですけど…… でも、俺も美也も、先輩が雨宮さんを好きにならなかったら、先輩の事、誤解したままだったと思いますよ。こんな信頼感は無かったと思います。きっと、俺達だけじゃないですよ。先輩の雨宮さんを思う姿に、応援したくなった人達が大勢いるんじゃないですか? 先輩の周りには大勢の見方が居るはずですよ」



「そんな事考えてもみなかった…… そうだよな、大勢の人に助けてもらった…… でも、彼女が居なければ、何も動き出さないんだ……。結局全ての力を持っているのは彼女なんだよ……」