幸いにも、大きな手術をしたらいいが頭に後遺症も無く、足の骨が折れただけで済んだ。


 三日程で体も少しずつ自由が効くようになった。

 しかし、彼女へ連絡しようにも連絡先が分からない。

 日本で使っていた携帯電話は解約してしまっていたし、オーストラリアでの連絡先にメールしたがもちろん返事が無い。


 僕は神谷に連絡した。


 神谷は休日、長野から僕の所へ来てくれた。


「先輩…… もう、心配したんですよ。銀行内でも、意識不明の重体だって大騒ぎだったんですから」


「心配かけて済まない……」
 僕は頭を下げた。


「怪我はどうですか?」

「しばらく、松葉杖だが、じきに退院出来るよ。後遺症も無いそうだ……」


「それなら良かった…… で、問題は怪我の後遺症じゃなくて、心の後遺症ですね」


「ああ……」
 僕は力無く言った。


「彼女から連絡無いんですか?」

「うん……」

「美也も心当たり聞いているけど、みんな日本を立つ前の連絡先しか分からないみたで……」

「そうか……」


「まだ、帰国して二週間だし、雨宮さんから連絡あったら教えてくれとは言ってありますから…… そのうち、何処からか連絡ありますよ」


「そうだよな……」

 僕も、そうありたいと願った。


 しかし、そんな簡単な事では無かったのだ。