「まだ、無理です!」

 看護師が僕の体を押さえ。

「空港へ……」

 僕はやっとの事で口に出した。


「分かった、健人! でも今は無理だ……」
 おやじも僕の体を押さえた。


「彼女が空港に……」
 僕は必至で訴えた。


「健人、よく聞け! お前、一週間意識が無かったんだ……」


「えっ」
 僕は愕然とした。


「もう、空港には居ない…… とにかく今は体の事を考えろ。治ればなんとかなる」
 オヤジが力強く言った。


 しかし、僕の目から涙があふれ出て止まらなかった。