恋愛預金満期日 

「誰か他に好きな人とか居るんですか?」

「山下課長の事ですよね?」

「まあ……」

僕ははっきりと言われ、返事に困った。

「彼とは仕事以外では会っていません。軽い人ですから、今でも普通に話しかけてきますけどね。でも、私も今はなんとも思って居ません…… あの時は本当に悲しくて、辛かったけど、思いっきり泣いているうちに、側で頭を撫でてくれているうちに、悲しい事が溶けていくみたいで…… また、勝手な事言っていますね…… ごめんない……」

「いいえ、そんな風に思ってもらえただけで、僕は十分です。ありがとう……」

「そんな、私の方が助けてもらってばかりで……」

「助けられたのは僕の方ですから……」

 僕は気持ちを落ち着けるように、深呼吸をした。


「それで、いつオーストラリアへ?」

僕は覚悟を決めた。

「来月です」

「そうですか…… ぼくも今週末東京へ引っ越します。これで、お別れですね。もう、お会いする事もありません…… お元気で……」

僕はそう言うのがやっとで、涙を堪えた。


「ええ……」


彼女が唇を噛みしめた時だった、マスターが僕達のテーブルに、サラダとパスタを置いた。