次の日、僕は昼を食べに社員食堂へと向かった。


 昼食は交代で取るため、それほど混雑する事もなく、空いている席もちらほらとある。
 トレーに定食を乗せ空いている席に向かうと、神野と美也に手招きされ、めずらしく同じテーブルに腰を下ろした。


「先輩、聞きましたよ。沖田建築の雨宮さんの事が好きなんですって?」
 神野がニヤニヤと僕を見た。


「ごめんなさい。神野さんに言っちゃった」
 美也が申し訳なさそうに手を合わせるが、そんな事は思ってないと、美也のすぐにニヤッとなった顔を見て確信した。


「でも、先輩、通帳差し出して、お話しして下さいは無いですよ。そりゃ定期の勧誘にしか思われないですよ」
 神野は笑いを堪えている。


「仕方ないだろう! 僕だって焦っていたんだから」
 僕は情けなく下を向いた。


「分かりました先輩。僕達、先輩の恋に協力します」
 神野が敬礼をした。


「雨宮さん可愛いもんね。笑顔が自然で、なんか安心出来るんだよね。同棲から見てもいい感じの人だって思うもん」

 美也の言葉に、その通りと言いそうになったが、


「絶対に余計な事するなよ!」

 僕は二人に念を押した。