「うーん…」

ただいま、私は勉強中。
けれど、全然進まない……

「はぁ、勉強なんて人生の中で1番要らないよね」

「ぐだぐだ言ってないでさっさとしろ、
バカ由香里。」

黒縁のメガネをくいっと持ち上げて、
レンズの向こう側から睨みつけてくるのは
幼馴染みの琉翔(れんと)。

てか、バカ由香里って…
私にもプライドがあるんだけど!

けれど、バカなのは本当だから言い返せない。

「……事故にあってから記憶なくしたからできないー」

「バカか、それは小学校の頃だろう。
今、何歳だと思ってるんだ。」

「んーと、16〜で高校2年生!」

「じゃ、4年分の記憶はあるな。
だったら、充分その問題も解けるだろう。」

「あー、無理無理。」

なんて、馬鹿なやり取りをする。
何だかんだいってこんな戯言に付き合ってくれる琉翔は優しい。

「そういえば、私が事故にあってからもう4年も経ってるんだ…」