「心配しなくても良かったのに」
「だ、だって……」
嫌われたくないんですもん。
そう口には出さなかったけど、
たぶん先輩は分かってる。
だから頭をなでなでしてくるんだ……。
恥ずかしいけど……嬉しいっ!
「あれ、何やってるんすか?」
帰ってきた龍弥くんがなでなでされてる私をみて一言そう言った。
「ん?菜奈ちゃんの不安を取り除いたところ」
「1日も持たないのかよ、菜奈」
「うっ……だって先輩、ずるいんだもん」
龍弥くん、そんな呆れ顔しないでよ……。
「確かに、ずるいかもね、俺って」
「今更っすね。
どうせ一ノ瀬先輩、菜奈がおどおどしそうなこと言ったんじゃないんですか?」
「バレてるね」
「察しました」
依然ニコニコ笑顔の先輩は、よし、仕事しよっと!と言って仕事に戻った。
私は龍弥くんと引き続きクラスTシャツの話とか、看板作りを手伝って、
その日は終わった。