* 菜奈 side
帰りのHRが終わって誰よりも先に教室を飛び出した。
バタバタと走って、現在体育祭実行委員が活動拠点としている第2会議室へ向かえば、案の定既に先輩はいた。
「一ノ瀬先輩!」
「あ、菜奈ちゃん!こんにちは」
「こんにちは!あの、お昼休み先輩、教室来てくれたんですよね?
私、全然気づかなくて…すみません!!」
深々と頭を下げれば、頭上からクスクスと笑い声が聞こえて、ゆっくりと頭をあげる。
「ぐっすりだったね」
「み、見たんですか!?」
「ばっちりね」
「ひゃあああ…」
まさかそんな大々的に寝顔を公開してたなんて、恥ずかし過ぎる…。
由良ちゃんも起こしてくれれば良かったのに!
「あ、あと…一緒に仕事やろうって」
「そうそう。これからは2人で行動しようね、ってこと。
あと、家に持ち帰るのなら俺もその仕事一緒にやらせてもらうからね」
「…へ?どうやってですか?」
「んー、菜奈ちゃんのお家にお邪魔しようかな」
「え、あ、う…あの…」
「ふふ、冗談。
さあ、みんなが来る前に一緒に仕事しよっか」
なんか完全に先輩のペースなんだけど…。
「うぅ…はいー…」
先輩の座っている向かい合わせに座って、終わらせなきゃいけない資料にざっと目を通し始めた。


