菜奈ちゃんのクラスを除くと、いろんな人に見られたけれど、見つからない。

…自分で言うのもなんだけど、きっと、菜奈ちゃんが気づいてくれそうな気もしてた。



そしたらある女の子が手を挙げて、
それから横で寝てる女の子を指差した。



…そういうことか。



教室にお邪魔させてもらって、菜奈ちゃんの元へと行く。



菜奈ちゃんはすー、すー、と寝息を立てて気持ちよさそうに寝ていた。



髪の毛を撫でてやれば、起きてるのかいい夢でもみてるのか、ふわっと笑って、俺もつられて笑った。



「菜奈、最近無理してて」



「そう、みたいだね。
完全に俺のせいだなあ」



「菜奈はそういう子ですから。
困った人を放っておくなんてしないし、
大変そうな人の手伝いをしない訳がない。
…自分が大変になろうとも、相手を何よりも思うんです」



菜奈ちゃんのお友達の目は、すごく優しい目をしていて、
きっと菜奈ちゃんのこと大好きなんだろうな。



「私自身も、何度も菜奈に助けられました。
でもこのままじゃ、菜奈が倒れちゃう…。
一ノ瀬先輩、どうか、菜奈を1人にさせないであけてくださいね。

こんな子だけど、うるさい子だけど、
先輩なら菜奈のことちゃんと分かってるって、私、信じてるので」



そう言って、菜奈ちゃんの机の中からルーズリーフと筆箱からペンを取り出して、俺の前に置いてくれた。

どっちも、菜奈ちゃんの物だけど。



俺は、ありがとう、と言って
菜奈ちゃんに手紙を書いた後、もう一度頭を撫でて教室を後にした。