10月の中旬、いよいよサッカー部の最後の大会が始まった。
部活がないときは応援に行ったけれど、予選どまりで敗退。
毎回ここらへんで負けてしまうらしいけれど、今回は特に進んだほうだって、誇らしいよって言ってた。
でも、そりゃあ悔しいわけで……。
陣先輩に、龍弥くんと先に帰るように言われたんだ。
その時の爽太くんは今にも泣きそうで、必死にこらえてて……。
言葉の意味をなんとなくだけれど理解した私と龍弥くんは、黙って陣先輩の言葉に頷いて先に帰った。
……あのあときっと、爽太くんは……。
なんだか無力だなぁ、なんて思ったことを口にしたら、龍弥くんに否定されたっけ。
『好きな女の前で泣けるか、ばーか』
でも、だからこそ、頼ってほしかったところもあったんだ。
……これは、後輩っていう名前のせいなのかな。


