外ではキャンプファイヤーを囲んでのフォークダンスが始まってた。
参加する生徒や、見て笑っている生徒。
みんなそれぞれが楽しい時間を過ごしてた。
「高校最後の文化祭でいい思い出できたよ」
「えへへ、良かったです!」
手をつないで歩くことも、恋人らしく名前を呼びあうこともできないけれど、
こうやって秘密の2人きりの時間を作れて、
なんだか心がぽかぽかしてくる。
「菜奈」
「はい?」
「これから俺は部活の最後の退会が始まって、受験も忙しくなる。
普段から連絡する頻度少ないのに、なおさら少なくなると思うんだ」
……わかってますよ、爽太くん。
ちゃんと、理解してます。
それでも……。
「……でも、俺は菜奈とこれからも一緒にいたいと思ってる。
だから……少しの間だけ、待っててもらってもいいかな?」
そんな爽太くんの言葉に笑顔で頷いて、
前に来ている腕をぎゅうっとに抱きしめ返した。
高校1年生の秋。
すごく幸せな、大好きな人との文化祭は、
幸せな時間で幕を閉じた。