「さすがに菜奈でももうわかっただろ?」
1つ頷けば、龍弥くんはふっと笑った。
真っ暗な帰り道、電灯の灯りが龍弥くんを照らしていた。
でも、その表情は今までに見たことがないほど苦しそうで、泣きそうだった。
「恋愛って、上手くいかないもんだよ。
彼氏彼女がいてもその人を好きになったり、告白しようと思ったら横から別の人が来てそっちで付き合い始めちゃったり」
龍弥くんと別れる道まで来た。
お互い足を止めて向かい合う。
「俺は……後者だけど」
「えっ……」
「じゃあ、また明日の部活でな。
ちゃんと爽太くんに電話しろよー」
手をひらひらさせて、帰宅路を歩く。
そんな龍弥くんの後ろ姿を少し見たあと、
私も家路についた。


