どうしていいか分からずにいると、教室の扉がガタンとなった。 2人して音のした方を見れば、いつもと変わらない表情をした爽太くんが立っていた。 ……ううん、ちょっとだけ、怖い雰囲気がある、かも。 「あ……」 つい声が漏れてしまった。 咄嗟に矢島くんと距離をとる。 「サッカー部の山下、っている?」 「山下ならもう部活行きましたよ」 先輩の言葉に矢島くんがそう返す。 矢島くんは穏やかに見えて、なんだかさっきと違った目付きをしていた。