こんな感情、持ったって仕方ないし、爽太くんの誰にでも優しいところがいい所だし……。
なんて黒いもやもやが頭の中をぐるぐる。
自然と手が止まってしまってた。
ダメだ、部活に集中!
もう1度手を動かしてゼッケンを洗う。
でもチラリとサッカー部の方を見ちゃって……集中出来ない。
はあ、とため息をついたとき……
「菜奈ちゃん」
「へっ!?」
爽太くんの声がして振り返れば、やっぱり爽太くんが立ってた。
学校では基本ちゃん付けで呼ぶから、私も先輩呼びに戻してるけど、それよりもなんで!?
「菜奈ちゃんが見えたから」
私の考えてることが分かったのか、笑顔でそう返してくれた爽太くん。
嬉しいのに、どうしてもさっきの光景が頭から離れなくって。
我ながら、心が狭いと思う。
こんなに独占欲が強いなんて、知らなかった。