「せ、先輩っ……」
先輩を押し返そうとするも、ビクともしない。
この状況も分からず、でも心は素直にドキドキしてて、訳が分からなくなってくる。
「最後なんて、言わないでよ。菜奈ちゃん」
そんな言葉とともに、ゆっくりと先輩は離れた。
先輩の表情を見て、目尻が熱くなる。
……なんでそんなに、泣きそうなんですか?
「先輩……もうなんなのか……分からないですっ……」
「……ごめん」
「なんで振ってくれないんですか……」
「菜奈ちゃんのことは振れない」
「なんで……」
「……好きだから、かな」
「……っ」
嬉しい言葉を言われたはずなのに、
先輩の表情が相変わらず悲しそうで、苦しそうで、喜べなかった。
むしろ変な汗が出てきて、この状況をどうしたらいいのか分からなくて。
頭の中はもう、考えることを放棄し始めてた。


