「先輩のこと、ずっと考えてました。
会うのが怖いって。
だって会ったら、振られちゃうかもしれないって。
そんなこと思ってからは、挨拶もぎこちなくなっちゃったり、先輩の噂が回ったら教室から出ないようにしたり」
要するに、逃げてたんだ、私は。
現実を見るのが怖くて、ずっと目を背けてた。
「それじゃあ、ダメって今日気づきました。
私は、大好きな先輩の、大好きな笑顔が見れれば十分です!」
そこまで言って、立ち止まった。
もう、私の家の前だ。
「先輩、今日で最後にしますね。
先輩のこと、大好きです!心の底から、大好き!!
……出会ってから、毎日しつこくしちゃってごめんなさい」
今日で最後にするから、許してください。
そんなことを考えながら、先輩に抱きついた。
「大好きです」
そう言って、離れようとしたところで、先輩の手が私を包んだ。
「せ、先輩?何して……」
「……最後にするなんて、言わないでよ」
「え……?」
初めて聞いた、先輩の弱々しい声。
ちょっと震えた腕。
こんな先輩初めてで、どうしたらいいのか分からなくて軽くパニックを起こした。


