ご飯の間、先輩はいつも通りだった。
詩織さんたちと4人でお喋りして、
美味しいご飯食べて。
久しぶりのこの間に、心がまた暖かくなった。
「それじゃあ、菜奈ちゃん!また来てね!」
詩織さんたちにお見送りしてもらい、先輩と一緒にお家を出る。
お互い何も話さずに家への道を歩いた。
もう大丈夫、頭の中では何度もシュミレーションしたし、大丈夫。
「最近、学校中に先輩の噂が回ってるのは知ってますか?」
「俺の?」
「ついに女の子を振ったって」
「確かに何人か断ったけど、それがなんで噂なんかに?」
「今まで先輩は女の子を振らなかった。もちろん、その中に私も含まれてます。
なのに断るようになった……要するに、好きな子が出来た、って」
先輩は小さく驚きの声をあげた。


