「季歩ちゃん、今日は外に散歩に行ってみない?今ね、桜がとっても綺麗なんだよ!」

看護師さんの明るい声とは正反対に私の心は暗い。

「ごめんなさい、今日はちょっと頭痛いので今度にします。」

そう言って無理やりニコッと笑う。

こうやって今日もいい子ちゃんを演じる。

「そう、気が向いたら行こうね?」

そう言って看護師さんが病室から出ていく。

そう、私は入院中。

あの父親が精神科にぶち込んだ。

病院だと、切れないから嫌なんだよね…

私の手首には無数の傷。

でも、病院は平和に暮らせていいけどね。

父親と関わらずに済むし。

両親は私が幼い頃離婚し、私は父親に引き取られた。

父親からは虐待される日々。

まぁ、暴力とかよりも育児放棄よね。

この世界に居場所はない。

明日突然消えたとしても誰も悲しまないだろう。

「早く死にたいな…」

そう呟いた。