「俺は広報部の東圭介。あれだけ人数いたらばれないから少しくらい大丈夫だよ。君の名前は?」
「松岡未羽と申します。よろしくお願いします」
はじめて話したときの彼女の印象は、大人しそうな子だと思った。
そして今日のような大勢が集まる場は好まないタイプだと感じた。
「松岡さんはお酒弱いの?」
「はい。親もお酒が弱いので遺伝だと思います」
「俺がいる部署はみんなそんなに強くないから、松岡さんに合ってるかもね。そしてみんなイイヤツ多いから馴染みやすいかも」
「そうなんですね」
言葉数が少なく、さっきから会話が続かない。
会話が切れて沈黙が続く。
一人残して戻れないし、次は何を話そうか…。
「優しいですね、東さん」
「ん?」
さっきから会話を始めるのは俺からだったが、はじめて彼女のほうから話しかけてくれて少し驚く。
「私を一人にしないように、さっきから一緒にいてくれてるんですよね」
「いや、俺も飲み過ぎたから風に当たってるだけだよ」
「やっぱり優しい」
そう言って彼女は微笑む。
そんな彼女の横顔に俺はドキッとする。
「東さんが上司だったらいいのに」
出会ってはじめて見せた彼女の笑顔に、思わず見とれてしまう。
夜風が彼女の髪をなびかせる。
綺麗なストレートの黒髪。
きちんと手入れされており、思わず触りたくなる衝動を押さえる。
結婚してからはじめて、妻以外の女性に心惹かれた瞬間だった。
「松岡未羽と申します。よろしくお願いします」
はじめて話したときの彼女の印象は、大人しそうな子だと思った。
そして今日のような大勢が集まる場は好まないタイプだと感じた。
「松岡さんはお酒弱いの?」
「はい。親もお酒が弱いので遺伝だと思います」
「俺がいる部署はみんなそんなに強くないから、松岡さんに合ってるかもね。そしてみんなイイヤツ多いから馴染みやすいかも」
「そうなんですね」
言葉数が少なく、さっきから会話が続かない。
会話が切れて沈黙が続く。
一人残して戻れないし、次は何を話そうか…。
「優しいですね、東さん」
「ん?」
さっきから会話を始めるのは俺からだったが、はじめて彼女のほうから話しかけてくれて少し驚く。
「私を一人にしないように、さっきから一緒にいてくれてるんですよね」
「いや、俺も飲み過ぎたから風に当たってるだけだよ」
「やっぱり優しい」
そう言って彼女は微笑む。
そんな彼女の横顔に俺はドキッとする。
「東さんが上司だったらいいのに」
出会ってはじめて見せた彼女の笑顔に、思わず見とれてしまう。
夜風が彼女の髪をなびかせる。
綺麗なストレートの黒髪。
きちんと手入れされており、思わず触りたくなる衝動を押さえる。
結婚してからはじめて、妻以外の女性に心惹かれた瞬間だった。