「あ、やべ。宿題やらないと今日当たるわ。そろそろ教室行くぞ美々」

「あ、うん」

昴はドアを出るときに一度振り向いて、先生に言う。

「先生ありがと。これから俺もたまに遊びに来るわ」

「ええ。いつでもどうぞ」

「先生ありがとう。私もまた遊びに来ます」

「ええ。待っていますよ」

そう告げて私たちは保健室を出る。
隣を歩く昴は何故か昨日までの昴とは違って、格好良く見える気がする。

「なんだよ」

「好きだなーって思って」

そう言って私は笑う。

「寧々に報告しないとな」

「…そうだね」

廊下の窓から見える空は雲ひとつない秋晴れだった。
窓から差し込む光が眩しい。

「俺達これから付き合うってことでいいんだよな」

「うん」

「なんか、変な感じだな」

「うん」

昴の左手と私の右手がたまにコツンとあたる。
手、繋ぎたいな。
そう思った矢先、昴は私の手を取り握った。

「いいよな。付き合ってるんだし」

「…うん」

私たちは教室に着くまで、お互いの手をもう離れないように強く握りしめていた。