もう一度、あなたに恋していいですか

「あ、やべ。宿題やらないと今日当たるわ。そろそろ教室行くぞ美々」

「あ、うん」

二人は扉のほうへむかう。
そして彼女は一度振り向いて、僕に言う。

「先生ありがと。これから俺もたまに遊びに来るわ」

「ええ。いつでもどうぞ」

もう、来たらいけないよ。
彼が妬くからね。

「先生ありがとう。私もまた遊びに来ます」

「ええ。待っていますよ」

僕は手をふって二人を見送った。

ああ。
終わったか。

僕は深いため息をひとつついて、保健室の扉を開ける。

「あんな感じで良かったですか。柏木寧々さん」

彼女の顔は今にも泣きそうなのに、どこか嬉しそうだった。
将来他人の幸せを喜べる、素敵な女性になるだろう。

「ええ…ありがとうございます。でもやりすぎです。キスするふりなんて」

”ふり”…ねえ。

「まあ良いじゃないですか。…ちょっとくらい意地悪しても」

「え?どういう…」

そのままの意味ですけどね。

「大丈夫ですか?お腹…」

「大丈夫といえば嘘になりますね」

「ごめんなさい…昴、力強いから」

僕はデスクの椅子へ座ると、彼女にソファに座るよう促す。