もう一度、あなたに恋していいですか

「じゃあ僕と付き合いますか」

「…え?」

それは驚くだろう。
先生からそんなことを言われるなんて思わないもんな。

「いま、何て?」

「僕と付き合いませんかって言いました」

「そ、それってどういう…」

僕は彼女にゆっくりと近づいていく。

「勿論僕の彼女になりませんかって意味ですよ」

八木昴くんは見ているだろうか。
きちんと見ておくんだな。

「あなたとは趣味や好みが似ていますし、話していて楽しいですし、僕ならあなたをそんな風に泣かしたりしません。あなたを守ると約束します」

「でも私…生徒、ですよ?」

「僕がそんなこと気にすると思いますか?人を好きになるのに生徒かどうかなんて関係ないでしょう」

僕は黒縁眼鏡を外し、彼女の目をじっとみつめる。

綺麗な瞳をしている。
僕の姿が彼女の瞳に映っていた。

僕は彼女の唇に自分の唇を近づける。



いま彼女の瞳に映っているのは僕だよ。
ねえ…八木昴くん。

僕は生憎、演技なんてできる性分じゃないんですよ。
悪いね、柏木寧々さん。

僕はいつでも本気ですからね。
”美々”さん。