~優愛SIDE~
蒼空と恋バナをした翌日。
私は教室に蒼空を残し、一人で行動していた。
図書館につながる渡り廊下を歩いていると、
「あ、優愛!ちょうどよかった。」
正面から来ていた玲央さんに声をかけられた。
玲央さんは、サッカー部に所属している1つ上の3年生で
1年の終わりごろに仲良くなった人だ。
「玲央さん、こんにちは。どうかしたんですか?」
「優愛に紹介したいヤツがいるんだよ。今、時間ある?」
・・・まあ、図書館には借りてた本を返しに行くだけだったし別にいいか。
「ありますよ!」
「よかった。その紹介したいヤツってのが、今俺の隣にいるこいつなんだけど」
玲央さんの言葉を受けて私は視線を横にいる男の子に移した。
幼さの残る顔立ち、私より小さめであろう身長。
思わず大きな声を出してしまった。
「誰ですか、この可愛い子!!」
すると、その子は少しムッとした表情をした・・・ように見えた。
「俺は中等部の安達莉玖です。」
「中等部か。通りでかわいく見えるわけだよね。」
中学生だから幼く見えたのだと一人で納得する。
「そんなにかわいいかわいい言ってやるなよ。莉玖が拗ねるぞ?」
玲央さんが安達くんの頭をぐしゃぐしゃ撫でながらそう言った。
あなたこそやめた方がいいのでは、と言おうと思ったけど
そんなこと言うと私まで巻き込まれるからやめた。