蒼空の話をまとめると、どうやら他校の三年生に5年間も片思いしているらしい。
出会いは中学の入学式で、体育館までたどり着けず迷子になっているところを
当時中2だった彼が助けてくれた、というなんともベタな出会い方だった。
「たぶん、一目ぼれ・・・かな。入学式の後も廊下ですれ違ったら挨拶したりして
そこそこいい関係を築けたんだよ。」
でも私って臆病だからさ、告白できないまま先輩が卒業しちゃったんだ、
と寂しそうに笑った。
「だけどね、このまま諦めるのは悔しいなって思ったの。」
今まで黙って聞いていた私は疑問に思ったことを口にした。
「じゃあなんで蒼空はこの学校に来たの?」
すると、あー・・・それはね、と言葉を少し濁した。
「先輩と同じ高校に行こうとは思ったんだけど、学力が全然足りなくて。
仕方なく諦めて、・・・でも先輩にふさわしい女の子になりたかったから
バカみたいに厳しいこの高校に来たんだよ」
一応全部話し終わってすっきりしたのか短い溜息をついて蒼空は私を見た。
「これが私の恋愛事情、かな(笑)
高校生活なんて今だけだよ、恋しないと損するって!!」
そう言われて少し考えてみた。
そりゃ、私だって恋したいよ。
だけど、好きな人って気付いたら好きになってるものでしょ?
クラスの男子は友達として好きだけど恋愛対象じゃないし。
やっぱ友達としゃべってるときが一番楽しいし。
なんて考えてたら改めて私に恋愛なんてまだまだ先の事だなって思った。
そう、思ってたんだ。
___________……この時までは。
