胸いっぱいGYU

そのまま諒は私を窓際の席へ連れて行った。

・・・私の指定席・・。


「こうでもしないとお前あのまま逃げていくからな・・」


なにか物言いたげな私の表情をいち早く読んだ諒はすかさずそう言った。


・・・だからってさぁ・・、これってどうよ?


「なぁ・・沙都?外見てみ?」


「え・・?」

そう言われた私は何の疑いもなく窓の外を見た。


「わ・・・」


私の目に映ったのは今まさに暮れようとしている夕陽の姿だった。

空が真っ赤に染まっていて何とも言えない。


「オレな、お前とこうして放課後の教室でこんな風に過ごすのが夢だった。全然他愛のない話して、今日あったこと話して、さ・・」


・・・・。

それは私も同じ・・。

ずっと憧れ続けた叶わない願いだった。

いくら背伸びして大人ぶってもあの頃の私は所詮小学生。