幸せだったあの頃・・沙都は言った。
『同じ学校に通いたい』と・・。
そんな風に言っていた少女がオレの目の前で高校の制服を着ている。
そんな叶わない夢を語りながら二人で絵を描いていた・・。
あの時の幸せはヨーロッパで絵を描いていても決して得られなかった。
高校の制服を着ている沙都が画材屋にいるなんて・・。
オレが高校時代に行っていた画材屋・・。
こんな細い偶然でも繋がっていることが嬉しかった。
もしかして・・沙都も絵を描いているのか・・?
沙都もあの幸せを忘れていないと・・勝手に思っていてもバチはあたらない・・?
いや、バチが当たってもかまわない。
そう思いたい。
涙目で沙都の姿を見ながら思うのは昔沙都のために誓ったことだった。
『教師になる・・。沙都に絵を教えるため・・同じ学校、同じ教室で絵を描くため・・』
沙都のために・・・?
違う・・。
本当はあの頃からそうだった。
同じ学校、同じ教室で過ごしたかったのは沙都の夢ではなく、オレの夢だった。


