もう何回と嗅ぎなれた薬品の匂い





まさか、沙良が誘拐されるとはーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーー俺のせいだな……………………



「………沙良、ごめんな…
お前が誘拐されたのは
俺のせ『ねえ、プリン食べたい。…
買ってきて』………」

……………………
…そうだったな


お前はこういう奴だったな…

全て分かった上で俺を咎めようとしない


今だってプリン買ってきて、か…



「そんなにプリン好きだったか?
ちょっと待ってろ下の売店に
行ってくる」



椅子にかけてた腰を上げ

沙良の頭を撫でた


沙良も答えるように瞳を閉じた


3年ぶりに会った沙良は


どことなく痩せた気がする


もともと身体も強い方ではなかったな


苦労かけたな………



『朔弥、…早く帰ってこないと
許さないから』


そう言った沙良の意地悪げな笑顔を


綺麗だと思った


両親が死んでからずっと二人だった


誰にも頼れず信頼よりも


もっと繋がりの深い俺たち


たった一度…

たった一度だけど

過ちを犯した

許されない過ちを…


あれは、俺が弱いばかりに


沙良に甘えてしまった…

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“朔弥いいよ…誰も朔弥を責めない
………私が責めさせない!
…これは…私の決意だと思ってね
だから、貴方は何も気にしないで
お願い来て…っ”

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ーーーーハッ


頭によぎった一瞬の記憶を振り払う
かのように頭を振った


沙良、お前は気にするなと言ったが

俺には無理だよ

自分の命よりも大切なお前を

俺は……………

………だから償い続けるよ


それでなくても俺は

お前を失いたくない




沙良が誘拐されて重体だと聞いた時

俺は生きた心地がしなかった

お前が無事でよかった









お前を誘拐した奴はちゃんと

処分したからな

っていっても俺が駆けつけた時には

誘拐犯はすでに伸びていた

それを処分したのだが……

沙良だって応急処置が完璧

だったおかげで

命も助かった

どのみち命の恩人には

挨拶に行かなくちゃな………