三次元なんか興味ない!

私はすぐに手を引っ込める。

息が荒くなる。

過呼吸とは違うけど、まばたきする暇さえも与えられない不安定に加速していく呼吸。





「え、えっと……」


急に声をかけられ、体がビクッと反応した。


声は、先程聞こえてきた唯木……瞬の声だった。

だからと言って、安心してはいけない。

一気に警戒態勢に入る私。


「ご、ごめんなさい。ビックリさせちゃって……。えっと、熱冷ましのシートって何処にあるかわかりますか?」

唯木瞬からの質問…………に答えられない私。


どうしろって言うの!?

確かに、私ならシートの居場所ぐらいはわかるけど、教える義理なんてないし。

自分で探してよ……。


「もしかして、場所、わかんないですか?」


唯木瞬が、なんとも嬉しい質問をしてくれた。

こちらにとっては都合がいい。

わからないと言えば、答える必要もなくなる。


私はコクンと頷いた。





だが、返事が返ってこない。


頷いたでしょ!

私、頷いたんだから、気づきなさいよ。

もしくは、喋れないとかって、解釈してよ……。


でも、心の声は届くはずがなく……。


「あの、ごめんなさい。わかるのか、わからないのか、僕がわからなくて……。声が出せないなら、顔を出して、頷いてくれると嬉しいんですけど……」


な、何言ってるの?

そんなの、無理だから。

察して、察してよ!


もはや、私から殺気が溢れ出す。

でも、彼は気づいていないようだ。





「じゃあ、先生も入っちゃダメって言ってたので、し、失礼します。シートは、自分で探します」


予想外の反応だった。

もう少し、食いついてくるかと思った。

内心ヒヤヒヤしていたから、安心しているが、悪役になったみたいで、調子が狂う自分がいた。


シャッ……。

カーテンを開け、閉める音。

唯木瞬は、本当に自分で探すようだ。


そういえば、あれだけ熱冷ましのシートを探してたってことは……。

ま、まさか……。