三次元なんか興味ない!

「あ〜、ごめん。耳痛くない?」


そう言って、下田は私の耳元に右手を伸ばす。


イヤ……。

やめて……。





「触んないで!」


気付いたら、私は叫んでた。


「っ……!」

「ぼ、僕としたことが……。触られるの苦手なんだよね。ごめん」

「い、いちいち謝んないで。ウザい」


私が本気でイヤだったのをちゃんとわかっているのか、毒舌の対応でも、下田は心配そうな顔しかしなかった。


哀れみの目なんて向けないで。

自分の心の弱さを探られてるみたいで気持ち悪……。


私は、再びベッドに戻った。

ここは、校内でも唯一好きな空間。


ふかふかのベッド。

カーテンで誰にも私が見えず、私も他人が見えない。

自分だけの空間。


落ち着く〜……。

昔は、一人って寂しいとか思ってた時期があったけど、今は……。

一人の方が気持ちも安定するし……。

何より、誰にも縛られない、振り回されない、騙されない、裏切られない、関わらない。

この先、私、ずっとこのままなのかな?

ま、それはそれでいっか。

治る気しないし……。


一人、心の中でボソボソと呟いていた。

頭の中で独り言を言うのが精一杯で、周りの音なんか聞こえない。





だからこそ、いきなりで驚いた。


ガラッ……。

急に保健室のドアが開く音がした。

カーテン越しだから、よく見えないけれど、生徒らしき人が入ってきたようだ。


「失礼します」


声的に男子。


男子にしては結構声高いかも。

声変わりとかしてない系?

まあ、声だけなら、二次元キャラにも劣ってないかも……。

二次元風に言うと、かわいい系、だと思う。


「どうぞ。クラスと名前、あと保健室に来た理由を言ってくれるかな?」


下田がその子に問いかける。

その子は、少し間を置くと、下田の質問に答えた。


「1年A組15番、唯木瞬です。頭痛がひどくて来ました」

「はい。他に辛いところは?」

「ちょっとダルいです」


苦しそ。

私には関係ないけど……。

ここは保健室なんだし、具合悪い人が来てもおかしくないか。