三次元なんか興味ない!

それから十数分後……。


ガラッ……。

保健室のドアが開いた。


「いやぁ〜、遅くなってすみません」

「河村先生!?すごい量ですね」

「あはは、私がちょっと溜め込み過ぎてしまって……」


その会話が少し気になって、カーテンの隙間から覗いてみる。


げっ。

なにあの量。

あんなの私にやらせようと?

ただの拷問じゃない……。

溜め込んだ河村が悪い。

ってことで、ゲームやめて、iPadでアニメ見よ!


シャッ……。

その音は、ことごとく私を邪魔したいようだ。


「ごめんな、瀬川。プリントのために、苦手な時間帯に来させて……って、またゲームやってるのか!?」

「チッ……」

「舌打ちしたな。あれ程やるなって言ってるのに」

「……ぅるさい」

河村……早く帰れ!

この鬼教師!


ひたすら帰って欲しいと念を送る私。

出張があるというのに、それにしては呑気な気もする。


「とりあえず!悪い。このプリント、できるだけ早く提出してくれ。じゃ、あとは下田先生よろしくお願いします」

プリントをベッドの上に雑に置き、それだけ言って、河村退散。


「河村先生、慌ててたね〜……って、菫ちゃん何してるの!?」


プリントを丁寧に重ねて、床にご返却。


ぶっちゃけ、勉強には困ってないし、プリントとか面倒臭い。

一番やる気のないこの時間帯に渡されてもちょっと困るんだけど……。

それに!

アニメ……見なくちゃいけないから。


「菫ちゃ〜ん(泣)頑張ってよ〜。さすがに僕も怒られちゃうよ〜」

「そんなの知らない。私、やらない」

「嘘でしょ〜〜(泣)」

「うるさい(怒)」

「ちょ、本気でキレないでよ……」


引いてる。

弱っ。

そんなに怯えるんなら、私に話しかけないでよ。

私が悪者みたいじゃない。

これじゃ、ゲームで言う魔王、アニメや漫画で言えば黒のヒロインみたい。