この春、高校一年生になった。

そして、早速、保健室登校。

私は、瀬川菫。訳あって、人とはできるだけ関わりたくない。

それで、保健室登校でこの学校に通っている。

高校生になってから、約5ヶ月が経ち、今は9月。もうすっかり秋で、衣替え。

そして、今、私は目立っている。






「あの子誰だろう」


「見たことない奴が歩いてるぞ」


「ねえ、よく見たら美形じゃない?」





あちこちから、聞こえてくる声。

視界に入ってくる同じ高校の生徒の姿。




キライ。




なんで、保健室登校で、授業中に学校に来るような私が、こんな朝早くに学校に来ているかというと……。


『渡したいプリントが山積みなんだけど出張があって、朝しか来れないから、なんとか朝から来れないかな?』


そんな担任の一言で、お母さんが学校に行けって言ってきたから。


ちなみに、私の今の姿はこんな感じ。


紺色に近い黒髪ストレートロング。

前髪パッツン。

青い大きな瞳。

パックの野菜ジュースを飲んでいる。

男子の制服を着用。

冷めていて、つまんなさそうな目つき。

斜め下45°を眺めながら歩行。


いろんな意味で目立っている。


「女の子?でもあの子、男子の制服着てるよね」


「メッチャ可愛い」


「話し掛けようよ」


そんな声が聞こえてきて、自然と早歩きになる。


冗談じゃない。

気持ち悪!

こっち絶対来ないでよ!

私、無理だから!本当、無理だから!


「ねえ、あの、な、何年生?」

最悪。

ちょっと珍しいってだけで、話しかけられるなんて……。

見ない顔だからって、声かけられるなんて……。


「……」

私は、嫌だけど、どうせ無視したら、勝手に不機嫌になるだろうと思って、話しかけてきた女子を見た。

「へ!?あ、あの……」

ブス。

プイッ……。

私は、彼女を無視して、学校の中に入った。