中途半端な日に転校したから
友達も出来なかったし、
他の学年の子達に知られる事もなかった。


でも私は純粋に学校が好きだった。

お母さんは可哀想だったと言った。

でも、ある日友達が出来た。
その子は晴生ちゃん。
この子の家族はデフファミリーらしい。


母も父も兄も、家族みんな耳が聞こえないのだ。

この一家の頼れる者は、祖母ただ1人。

そのような晴生ちゃんと友達になった。
友達になったが、おしゃべりが出来なかった。

私は、この学校に入ったばかりだから
聾の人の会話の“手話”が出来なかった。

晴生ちゃんは、手話はプロ並だが、
声を聞くのは苦手なのだ。

口を大きく開けて話すと、口の形を読み取って会話できるという手段もあったが、友達だけど人見知りする私は、口を大きく開けられなかった。

だから、ただ単にそばにいるだけの友達だったのだ。

それでも、私は嬉しかっただろう。