でも二人はそうとらえなかったようで
久慈くんとの結婚話をし始めてしまった

お墓で言っていた“年内”にこだわり
誰がわたしとバージンロードを歩く、とか


「紗枝ちゃん、どうした?」


その話に一切触れない私を
心配そうにみっちゃんが話しかけて来た



『みっちゃん、いえ、会長、お話があります』


意を決して話し始めた私
二人は驚くばかりで
今までニコニコ笑っていた顔が
真顔になり
みっちゃんは眉間にしわを寄せている


「…紗枝ちゃん、やっぱり納得いかないのかい?ならまた紗枝ちゃんを秘書に…」



弱々しい声のとしさんの言葉に
私は首を横に振った


『私の我儘です。お二人には感謝しています』