優司の言葉に
私もつられてしまった
でも、言葉にして後悔はない
「紗枝…、」
『…優司。私は幸せにはなれないのよ。どんなに求めても、やっぱり人を利用して傷つけてしまった代償は大きいわ』
ごめん、帰る
それだけ言って席を立った
もう優司と会うことはないだろう
そう思いながら
マスターにも声をかけず店を出た
店を出ると
たくさんの人が歩いている
早くタクシーを見つけたい
いつもなら、すぐ捕まるのに
こんな時に限って捕まらない
でも、早くここから離れたい
タクシーが捕まらない私は
駅にもバス停にも向かわず
ひたすら小走りで
マンションの方向へと向かった

