落ち着いた私に
アルコールはダメだ、と
ノンアルコールのカクテルを
注文してくれた優司
あんなに見慣れていた顔だった
そして、奏くんと重ね合わせていた顔なのに
今では全く似ていない
「…なんだよ、見過ぎだろ」
視線を合わせることなく
優司はまっすぐ前を見ている
『…似てると思ってたけど、よくよく見ると全く似てないのね』
なんのことだと
キョトンとしていた優司に
通りかかったマスターが話しかけて来た
「似てないだろ。似てるとしたら…女を大切にするところかな。だから最近、奏は来ないな」
笑いながら行ってしまったマスターの言葉で
ようやく理解した優司

