幸せになってもいいですか?



思えば
奏くんを利用し
欲しかった人を手に入れたが満たされない

再就職して手にした職は
あっけなく後輩に奪われ

この性格もあって
女には嫌われやすく
男には軽く見られる


誰でもいいわけじゃない…
ただ、愛されたい
求めた人に、愛されたいだけ…



もう…いいや



戸田くんへの抵抗も諦めた私は
そのまま支えられながら
建物の中へと脚を踏み入れた




「何やってんの」



その強い口調に私たちの足が止まった
聞き覚えがある声
それは多分、戸田くんも同じだったのだろう



「お前こそ、」


焦ったような戸田くんの声に
少し遅れて振り返った

少し息が上がっていた彼
久しぶりに会えたのに
こんな状況だなんて…