「どうして連絡してこないのよ」
その言葉に振り向いてしまった
まさか
彼女から話しかけられるなんて
思ってもみなかったからだ
染川優奈は
ムッと顔をして
私の腕をひっぱり歩き出した
『ちょ、ちょっと、何するのよ』
私より背が小さいくせに
意外とチカラが強く
そして、歩くスピードも早い
ホームを出ると
ようやく腕は解放され
私の目の前で仁王立ちをしていた
「まさか、捨てた?」
それは、あの電話番号のことだろうか
捨ててはいないが…
『なんのこと?』
彼女が何故、私に構うのか
未だにわからないでいる
過去でも奏くんを傷つけ
彼女にも皮肉めいた言葉をかけたわけだ

