『お先に失礼します』



第一秘書ではない私には
残業するまでの仕事はない
定時を少し過ぎた時間に退社

これから毎日
こんな時間に帰るのか…
前なら喜んでいたかもしれない
でも、今は気持ちが沈むだけだ


夕食を作る気にもなれない
何か買って帰ろうにも
どこかに寄る気分にもなれない

しかたがない、と
コンビニで済まそうと
駅を出たところのコンビニへと入った


コンビニなんて久しぶりだ
適当に食べ物や飲み物、雑誌を買い
マンションへと向かった

当たり前だが
部屋の前には誰もいない
もしかしたら孝がいるかもしれない
なんて微かに期待もしたが
よく考えたら
まだ仕事の時間だ