小さい箱か二つ
写真の両親はわらっている

ぼーっと二人の写真を見ていたら
玄関先で何やら声が聞こえた
行ってみると
いつかの、借金取りだった


何をしに来たのかと思ったら
金を返せと言い出した
両親はもういない
それを伝えると
借金取りはニヤニヤしながら
私の腕を掴み連れ出そうとした



「借りたもんはしっかり返せ。親の借金は子供が払うのが当たり前や」



私に何ができる、
どんなに抵抗しても
大人の男のチカラには勝てない
車に乗せられる、という危機から
救い出してくれたのが
養父であった


出張から帰って来て
父の訃報を聞き、駆けつけてくれた
もし、タイミングがずれていたら
確実に助からなかっただろう