満員電車に揺られ
私の一日が始まる
私より出勤がおそい隆は
まだベッドの中だ
これもいつものこと
合鍵をローテーブルに置き
私は出勤した
孝はその合鍵で施錠をし
ポストへと落としてくれる
決して持ち帰ったりはしない
「今日も遅い?」
「いや、なるべく早く帰る。いろいろ決めなきゃいけない事、あるんでしょ?」
そんな会話が聞こえてきた
懐かしい声に自然と耳を傾けてしまう
懐かしいな、という気持ちと
羨ましいという気持ちにもなる
たまに同じ電車に…同じ車両になってしまう
忘れたいのに
忘れられない相手、小鳥遊奏くん
奏くんの隣には
出会った当初より断然可愛くなった女
染川優奈がいる

