身体の相性もいい
孝は女の扱いに慣れているから
こっちが何かいう前に
気がついてくれて動いてくれる
「紗枝、」
そう呼ばれ視線を送ると
孝の手にはミネラルウォーター
喉が渇いた、と思っていたところだった
やっぱり孝といると、楽だ
そう思っていると
孝は私を抱き起こし
冷たき水を流し込んできた
でも、孝は彼氏ではないし
彼氏にしたいとも思わない
だって孝には他にも女がいる
どんなに孝のことが好きでも
私は一番になれないのだ
一番がいい
あの幸せだった、
私だけを見てくれる眼差しが欲しい
「好きだよ、紗枝」
私を抱き枕にして眠りにつく孝
その好きをどのくらいの人に
言っているのだろうかと思いながら
眠りについた

