隣に座った奏は
哀愁漂ってますよ、と
笑いながら言ってきた


俺だって一人で呑みたいときもある
て、いうか一人にしてほしい


「そんな時もあるだろ」


そう言って立ち上がろうとしたが
それを許さない奏
なんなんだ、と奏を見れば
奏は頼みがあると言い出した


「俺、結婚するんです。孝さんに証人をお願いしたいんですが、ダメですか?」



わかっていたが
とどめを刺された気分にもなる
が、奏の幸せを願う俺は
それを引き受けるしかなかった


「わかった。喜んで引きうけるよ、やっとお前も幸せになれるんだな」


「ありがとうございます!俺は今でも幸せなんですけど、今以上に幸せにしてあげたいんで」



奏の笑顔が眩しい
どちらにせよ、俺に誰かを幸せにしてあげられる器量はまだまだなようだ



【完】