私の作ったビーフシチューを
美味しそうに食べる男
宇津木孝
いつも偉そうな口調
でも優しくて
女の扱いに慣れている
孝は奏くんの同僚で先輩
孝を紹介してくれたのは奏くんだった
奏くんには彼女がいて
別に美人じゃないし愛想も良くない
なのに奏くんは溺愛している
あんな奏くんを見ていたら
入る隙間なんてなかった
奏くんなら
また私を受け入れてくれる
そうどこかで思っていた
でも、それは違った
「風呂、入った?」
『まだよ』
孝は決まって
必ず一緒に入ろうと言う
私の髪を洗いたいのだと言う
孝は美容師
毎日いろんな人の髪を触るのに
私の髪を気にっている
恋しくなる、と言っていた

