孝は美味しいと
私が作った料理を食べてくれる
いつも思うが
こういう生活に憧れがある
夫婦仲良く
食卓を囲むのが理想
「紗枝、結婚しよう」
まだ食事が途中だというのに
孝は私の目を見てはっきり言ってきた
プロポーズ
孝と合わない、と感じたことはない
いつも私のことを考え
人の温もりを与えてくれる
『孝…』
「紗枝」
孝はテーブルの上で
私の手に優しく触れてきた
温かくて、優しい手だ
何度、好きだと思ったか…
『孝、ごめんなさい』
私は孝の手から自分の手を引いた
孝の手は私だけを安心させてくれる手ではない
今までずっと
気になっていたことを
私は孝にぶつけてみた

