桜が咲き乱れるこの頃、季節は完全に春へと変わった。
今日は中学校の入学式。女子は長いスカートに、白く短めの靴下でどこからみてもなりたての中学生だった。

そんな姿を凛はじっと見つめていた。
「私もこんな感じだったんだね~」
凛はため息をついた。

─園田凛
顔はどこにでもいる様な普通の童顔。髪はストレートの黒髪。
たいして 勉強もスポーツもできないが、友達が多いことが自慢だった。
そして、凛には叶えたい願いがあった。

それは 恋がしたいこと。
恋とは何か?? とても知りたかった。
甘酸っぱくて、切なくて、楽しいものだと散々姉に聞かされていたからだ。

(私って男運ないからな・・唯一近づいてくるやつは・・・)
凛は後ろを振り向いた。
「り~んっ♪」
突然後ろから誰かが抱きついた。
「わわ、カナ!!ビックリした~」
カナは凛の一番の親友だ。

本名は、三ツ井カナ。
明るくてみんなからすごく人気がある、なかなか可愛い子だ。
性格はやさしく 天然系だった。
これまでも色々と相談に乗ってくれたり、面倒見もいい。
しかも、勉強もできる・スポーツ万能・顔もいいの3つがそろっていた。

「誰かさんのこと見てたんじゃないの~??」
カナがおもしろそうにニヤニヤ笑った。
「ち、ち違うよ!!燐のことなんか・・」
凛はハッとなり、口を塞ぐ。
また、カナがにたーと笑った。
「やっぱりぃ~??凛わかりやす~い♪」
愉快そうにクスクス笑っているカナを横目で睨みながら、視線を裏に向けた。

見ていたのは、同じクラスの園田燐。
凛とは、同じ名前でしかも同じクラスだ。
1年生のころからのくされ縁で、よく口げんかをしている。
周りからはよく冷やかされていたが、好きではなかった。
だたのクラスメイト、そう思っていた。

凛の視線に気づいたのか、燐がこちらに歩いてきた。
「よっ カナ!!おはよ~」
なぜか、燐はカナだけにあいさつをした。
「・・・ちょっと私も居るんですけど」
凛は恨めしそうに燐を見上げた。
燐とは、身長差があり見上げなければいけなかった。
「お前は身長ちっせぇから見えなかったなぁ~」
「燐と一緒にしないでよ!!」
凛は背伸びして、燐の頭にチョップを食らわせた。